初めて海外に行こうとしたら空港バスに乗り遅れた話1
天賦の休日であった2019GW、僕は大学在学中からかねがね行きたかった台湾へ6泊7日で行くことを決めた。人生初海外である。
自分と旅行ができる数少ない友人に声をかけたがそんな長く休めないと断られてしまったため、国内で繰り返していた一人旅を台湾でも行うこととなった。
台湾は日本人でも旅行がしやすいらしいし、二外では中国語を取っていた。初歩しかやっていない北京語が台湾で伝わるかは不明だが旅行の要点は台湾鉄道を満喫することである。対人コミュニケーションはさほど要しないだろうし漢字は得意なので大丈夫だろうという軽い気持ちであった。
おそらくこれから別記事でも露呈する所となるが僕の旅行スタイルは放漫なものであるので、寝坊や忘れ物を度々やらかしている。さすがに異国の地でこれら(特に忘れ物)をしでかすわけにはいかないので、実家の協力も得つつ荷支度を行った。
数か月前からパスポートや航空券などの手配を進め、いざ出発日となった。
東京駅から空港連絡バスに乗る
というわけで実家から台湾に向けて出発するのだが、僕は埼玉県民であるので都内に出るのに必然的に池袋を経由する。池袋駅に慣れていることは埼玉県民の必須スキルである。しかし僕は多摩地域に大学が立地していた都合上新宿駅ユーザーであったため、練度が足りなかった。
結果、池袋で丸ノ内線へ乗り換えるのに少しく無駄が生じ、最速ルートから1本分の遅れが発生した。しかしそれにより座席にありつけたので、この遅れを特に気にせず居眠りをしながら、電車が東京駅に着くのを待った。
時刻表によると11:10少し前には東京駅に着いたらしい。丸ノ内線の東京駅は名の通り丸の内口の地下にある。東京駅のバスターミナルが八重洲口にあるのは旅行者の常識であるが、そこへは東京駅を東西に横断していかねばならぬ。案内標に従い、平成の東京駅を見るのもこれで最後だななどと思いながら八重洲方面へと向かった。
しかし八重洲口といっても広い。JR東海の領域に入ったので八重洲側に出るには出られたようだが、僕はバスターミナルがどこにあるかの把握を怠っていた。と、ここでバスの時間が気になり確かめてみたところ、11:20発車となっている。僕の頭はなぜか11:25と記憶していた。時計を見返すと11:17でもう時間がない。しかし発車時刻は何度見返しても11:20である。
走って外に出てバスターミナルを探したが僕がいたのは北口で、バスターミナルは見えなかった。必死に走る。
走る。
走る…どこだよ!
あ!あれじゃn
そこで見えたのは、乗るはずのバスが公道に出んとして信号待ちをしている様であった。手を振って合図をし、
お願いします!乗せてください!何でもしますから!
とか言ってる暇もなく信号はすぐに青になり、果たしてバスは空港へと出発していったのであった。
乗り遅れ確定!《旅程崩壊》
空港バス以外でのアプローチを考える
事の展開が早すぎたのは申し訳ないが事実であるのでそのまま経過を書いたらこうなった。
国内では慢心や寝坊、寄り道が引き金となって幾度も旅程を崩してきているが、初海外の初っ端からこんな事態となるとは僕も思ってなかった。
自分が引き起こしたいつものトラブルとはいえ、今回は初海外である。しかも飛行機は使い慣れているほうではない。だいたい飛行機は待機時間が長すぎる。出発の1時間近く前にチェックインしなければいけないというのが性に合わない。1時間あれば観光地で1箇所どころか数箇所多く回れるし朝はそれだけ寝ていられる。朝食付きのホテルでわざわざ朝食を食べずに出発しなくても済む。それに荷物の預け入れも煩わしい。最も問題なのは乗り遅れた際の救済がないことである。フルキャリアの手厚いサービスを受けている余裕があれば旅先で散財したいので最初から低価格航空を予約しているから変更はできない。ミスをしたらそこで旅全体が終了である。これは地べたを這い回る旅行に慣れきった旅行者が飛び道具に対して抱く心配事No.1である。
対して列車は数分前に改札を抜けていれば乗れるし、もし乗り遅れても後続に乗ればよいし、本数がなければ経路を変えたり旅程を変えればよい。余計な出費も少なくて済む。指定席は不自由席である。これはかの宮脇俊三先生の言であるので疑問の余地はない。遅刻ができるという安心感は何物にも代えがたく、心ゆくまで現地を堪能できるのだ。船は規模によるが長距離フェリーとなると数十分前でないと怪しい。
余裕をもった行程を組むのが基本の飛び道具であるが、その空港に向かう途上にやらかしを発生させたことでさすがに正気に戻り、飛行機への文句を考える暇もないまま急いで空港アプローチを電車へと切り替えようと出てきたばかりの東京駅へと舞い戻った。
作戦の立て直しである。転進は失策ではないのだと頭の中で大本営が言っている。
そして、ここで飛び乗ったのは
2.直下の地下ホームから成田へ一直線! 総武快速線
の
どちらでもなく、ステンレスに青帯の常磐線の列車である。
ではないのである。
僕が飛行機を予約したのは、東京駅から80kmも離れている上にまともな交通手段もない、茨城空港なのでありました。
なぜ?
→安かったから。
それ以外の理由はない。
勤勉なる社畜日本人には10連休など死んでももらえないことを、お上がいとあはれなりとお思い遊ばされて下賜なされたのかは知らないが、とにかく時期が時期であったので、羽田はともかく成田もLCCが台湾まで5万円とかいうのが検索にザラに引っかかってくるレベルだった。その中で見つけたのが茨城-桃園線、片道2万円台のタイガーエアだった(それでも3万ちかくはした)。
周りに都市たる都市もなく空港アクセスも貧弱な茨城空港だからこそ成せる業だったのであり、空港までの運賃を主として諸条件を検討しながらこれに決めたのだった。
強いて言えば地方空港からの出国が面白そうだったからという理由もあるが、埼玉から出国を企てようとする人間が利便性で茨城空港を選ぶはずがないのである。翔んで埼玉するのに未開の地、茨城を通る意味はない。
肝心の空港アクセスだが空港利用者は1500円で空港までバスで移動できるとあり、電車でNRTに出るのとほぼ同じ額で乗ったことのない常磐道や行ったことのない辺鄙な地方空港へ連れていかれる体験ができるとあり、こちらも少し楽しみにしていた。
しかし残念ながらバスは目の前で行ってしまった。
常磐線に乗って考えた
そこでとりあえず急いで茨城に向かうには常磐線の高速走行に期待するしかないということで飛び乗り、上野東京ラインの恩恵をかみしめながらスマホのNAVITIMEと対峙したのである。
ちなみにフライトの時間は15:00発で、手荷物預かりは45分前までとなっている。
土浦駅からの手段
乗ったのは東京11:26発、土浦行の常磐線である。八重洲口での事案発生から僅か5分弱で列車に乗り込めたのは称賛ポイントである。これで土浦までとりあえずは行けるが、茨城空港へはまだ少し遠い。念のためと土浦からのバス路線図を調べたがヒットしなかった。となると数駅先の石岡駅まで常磐線に乗って行かねばならない。石岡へは時間にして20分後を勝田行の中電が走っているのでそれにどこかの駅で乗り換えればよい。ちなみにその時点で昼飯を食べていなかったので、乗り換えるなら駅そばでも食べられる駅が好ましい。
しかし車内でNAVITIMEと関鉄バスの路線図、時刻表それに地図を必死に見比べていたため、クソデカ唐揚げそばと山下清画伯で高名な我孫子は通り過ぎてしまった。ただ僕のことなので、唐揚げそばをマイペースに食していたら食べきれずに乗り遅れていた可能性が強く懸念されるところであるので正解だったかもしれない。自分のことは自分が一番よく知っている。
石岡ならどうか
次いで石岡駅からの空港行きバスを調べた。石岡からは鹿島鉄道の廃線跡がバス専用道になっていて小美玉方面へ続いており、そこを空港連絡バスも走る。鉄道+バスでアクセスする時の通常ルートである。
時間を調べると、驚愕の列車到着1分後の発車であった。さすがにクソすぎると思い何度も時刻表を見直したが数字は変わらない。もし石岡駅が岩瀬浜や御代志のようなバス直結構造でシームレスな乗り継ぎが実現された駅なら可能だったかもしれないがそんな話は聞いていないので無理である。
時刻表をよく見ると、その勝田行は石岡1つ前の高浜で特急の通過待ちをする。これにより石岡到着が5分も遅れる。しかも待たせた特急は石岡を通過し水戸まで停まらないひたち号であるため使いようがない。大都会石岡市の中心駅である石岡駅まで先行してくれれば、少なくない石岡駅利用者からも、僕のような突発的利用者からも、石岡の一次交通と二次交通の結節は素晴らしいね、と称賛を受けていただろうにこれではJRと関鉄バスのダイヤ担当者を恨むばかりである。
1本後のバスは40分後まで待たねばならず、空港到着が14:10で余裕時間が全くない。さすがにこれを使うのは憚られる。石岡からのバス利用は不可能であった。
たどり着かなければならない
どうにかならないかとNAVITIMEで茨城空港発着のバス路線に目を向けると、小美玉市のコミュニティバスなるものも通っているようだ。路線図を見ると、残念ながら常磐線へは羽鳥駅で接続しているのみで、旧小川町域は鹿島鉄道小川駅跡のバスターミナルを基点に運行しているようである。
が、悪足掻きでもなんでも、使えそうなものは何でも調べてみるのが緊急時の基本であり限界旅行の基本である。
時刻表を見てみると、なんと都合よく13:55に茨城空港に到着する便を発見した。しかも基幹ルートとなるメイン路線ではなく、区域内を巡回しながら周回するタイプの支線系統であった。
加えて1日1本しかない系統が、まさに僕が必要とする時間にちょうど走っているのだから使わない理由がない。路線バスの旅などしていようものなら絶対にキーになるであろう路線である。
空港アクセスでコミバスという裏コマンドとしかいえないルートを見つけて俄然興奮した僕はすぐさま運行ルートを調べた。
結果、割と鉄道寄りのところを通過することが判明。
ここで気になってくるのが高浜駅である。距離的には空港まで一番近いし、バスのルートからも一番近い。路線図と見比べると、中でも「高崎集落センター」が近そう。3kmもないくらい。
フライトまでの時間的にこのバスを捕まえるしかないが、そこまでのバスは無い。
となれば、選択肢はタクシーのみである。
メーターが気になり、落ち着いて乗れない交通手段筆頭であるタクシーを使わざるを得ないのは最終手段だ。
後続の常磐線勝田行が高浜駅に到着するのは13:12頃なので高崎集落センターには間に合わないが、バスが大回りする間に小川駅に直行すれば13:35には間に合いそうである。高浜駅から小川駅まで5kmはありそうなので値段が読めないが、背に腹は代えられない。某番組よろしくバスがないので徒歩連絡しましょうなどとは言っていられぬ。
これで決定である。ほかに検討の余地はない。と思われる
高浜駅にタクシーが停まっているかが若干気になるが、それ以外は時刻通り事が運べば没問題である。日本の鉄道の信頼性は世界一であるので心配に及ばない。
このまま土浦まで乗り続ければ、土浦に到着するのは12:44である。後続の勝田行は土浦13:02発なので20分弱の時間がある。土浦ならば駅構内にコンビニとかがあるだろうし飯もそこで調達できるだろう。
行程の再構築が終わり一安心したところなので、土浦からは記事を分けようと思う。
次回に続きます。